○大和高田市議会基本条例
令和2年9月28日条例第34号
大和高田市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員活動の原則(第2条・第3条)
第3章 市民と議会の関係(第4条・第5条)
第4章 議会と行政の関係(第6条)
第5章 議会運営(第7条―第9条)
第6章 委員会の活動(第10条)
第7章 政務活動費(第11条)
第8章 議会及び議会事務局の体制整備(第12条―第15条)
第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第16条―第18条)
第10章 最高規範性と見直し手続(第19条・第20条)
附則
市民が地方自治体の長及び議会の議員を直接選挙するという二元代表制の下、市民の代表として選ばれている議員と市長は、それぞれが市民の負託に応える重要な役割と責任を担っている。
市長は執行機関であり、市議会は議事機関であるという役割に違いがあるが、市民の代表機関としては対等な関係にある。市議会は合議制の機関として、市長は独任制の機関として、それぞれ異なる特性を生かして、市民の意思を市政に的確に反映させるために、切磋琢磨し、協力し合いながら、大和高田市としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
また、近年の地方分権の進展により、地方自治体の自己決定権は拡大され、市議会の役割と責務もますます重要なものとなっている。市議会は、市長その他の執行機関の事務の執行について監視及び評価を行うとともに、議員間の活発な討議により政策の立案及び提言を行う機関となることが求められている。そのため、市議会は、市民に分かりやすく開かれた議会運営の下、市民への情報提供と情報の共有化を図るとともに、市民との対話等を通じて意見を正しくくみ取り、大和高田市の行財政運営に反映させなければならない。
こうした認識を市民と共有し、市議会の使命を果たすため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき市民に身近な地方政府としての議会活動を実行することにより、市民全体の福祉の向上及び市政の発展とともに、歴史と文化と自然が生きづく活力と潤いのあるまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員活動の原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、市民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重んじた市民に開かれた議会を目指して活動する。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじなければならない。
2 議員は、市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、市民の代表としてのふさわしい活動をしなければならない。
3 議員は、市民全体の福祉の向上を目指して活動するものとする。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第4条 議会は、市民に対しその保有する情報を積極的に発信するとともに議会の活動に関する情報公開を徹底し、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)にあっては、法第109条第5項及び法第115条の2の規定による参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
(市民参加の機会)
第5条 議会は、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する機会を設けるよう努めるものとする。
第4章 議会と行政の関係
(議会及び議員と市長等執行機関との関係)
第6条 議会の本会議における議員と市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)の質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
2 議長から本会議及び常任委員会、特別委員会への出席を要請された市長等は、議員の質問に対して論点を明確にするため、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
第5章 議会運営
(議会審議における論点情報の形成)
第7条 議会は、市長が提案する重要な計画、政策、施策及び事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策等の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市政運営の指針における根拠又は位置付け
(5) 関連する法令及び条例等
(6) 政策等の実施に係る財源措置
(7) 将来にわたる政策等のコスト計算
(予算及び決算における政策説明)
第8条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
(議会の合意形成)
第9条 議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議を中心に運営するものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び市長の提出議案並びに市民の提案に関して審議し、結論を出す場合は、議員相互の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
第6章 委員会の活動
(委員会の活動)
第10条 議会は、委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開し、市民にわかりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員会は、市民の要請に応じ、審査の経過等を説明するため、懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。
3 委員会は、議会における政策立案及び提案を積極的に行うものとする。
第7章 政務活動費
(政務活動費)
2 政務活動費の交付を受けた議員は、公平性、透明性の観点に加え、その支出根拠が議会の議決事項である予算に依拠することから、市民等から疑義が生じないよう、議長に対して証票類を添付した報告書を提出しなければならない。
第8章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第12条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
(議会事務局の体制整備)
第13条 議会は、議会及び議員の政策形成・立案機能を高めるため、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会図書室)
第14条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書館の整備及び図書の充実に努めるものとする。
(議会広報の充実)
第15条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第16条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって市民の疑惑を招くことのないよう、行動しなければならない。
(議員定数)
第17条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。
2 議員定数の基準は、人口、財政力及び市の事業課題並びに類似市の議員定数と比較検討し、決定するものとする。
3 議員定数の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員から提出するものとする。
(議員報酬)
第18条 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。
2 議員報酬の条例改正議案は、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員から提出するものとする。
第10章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第19条 この条例は、議会における最高規範であり、他の条例、規則、規程等の制定改廃に当たっては、この条例を尊重し、整合を図らなければならない。
2 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。
(見直し手続)
第20条 議会は、毎年1回、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証するものとする。
2 議会は、前項による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附 則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。