所信(令和5年6月市議会定例会)

更新日:2023年06月16日

令和5年6月市議会定例会

令和5年6月市議会定例会に際しまして、2期目の市政を担当するに当たり、所信を申し述べる機会をいただきましたことに厚く御礼申し上げ、議員各位、並びに市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

私は、本年4月16日に告示されました市長選挙におきまして、無投票という形ではありましたが、再選の栄に浴し、引き続き、今後4年間の市政を担当させていただくこととなりました。その責任の重さに身の引き締まる思いであります。

1期目を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の拡大やこれを受けた緊急事態宣言の発令、東京オリンピック・パラリンピックの開催、世界的なエネルギー価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻等、まさに激動の4年間でありました。

特に、先月、ようやく感染症法上の位置付けが2類から5類へと引き下げられました新型コロナウイルス感染症との闘いにつきましては、約3年間、私の1期目任期の大半におよび、さまざまな困難に直面する中、市民の皆様をはじめ関係各機関の皆様方から多大なご支援、ご協力を賜りました。少しずつ日常の生活が取り戻されつつある今、改めて深く感謝を申し上げる次第であります。

このような大変厳しい状況の下ではありましたが、「笑顔の花咲くまち 大和高田」を将来都市像として掲げ、市立病院のあり方検討や奈良県との「大和高田市立病院の近鉄大和高田駅・JR高田駅周辺地区への移転整備における県有財産の活用に関する協定」の締結、ごみ処理の広域化に伴うごみ中継施設整備事業の推進等、本市の未来を見据えた土台作りに着手できたという点においては、一定の成果を残すことができたのではないかと考えております。

この2期目は、新生大和高田の礎を築くべく、私の初志である「住んで良かった 住み続けたいと思える大和高田市を創りたい。」との思いを忘れることなく、謙虚な姿勢で市政にまい進してまいる所存であります。

それでは、今後4年間の取組についてご説明申し上げます。なお、今期につきましても、引き続き、「大和高田市まちづくりの指針」等の計画に基づく各行政分野の施策全般に、全力で取り組んでまいりますことに変わりはありませんが、本日は、その中から特に大きく進めたいと考える6点に絞って、私の考えを申し上げたいと存じます。

(1) 未来のまちづくりの推進について

まず1点目は、「未来のまちづくりの推進」についてであります。

現在、本市におきましては、平成27年度に奈良県と締結いたしました「まちづくりに関する包括協定」に基づき、「シビックコア周辺地区」及び「近鉄大和高田駅・JR高田駅周辺地区」の2地区におけるまちづくりの取組を進めております。

「シビックコア周辺地区」につきましては、「大和高田市シビックコア周辺地区まちづくり基本構想」における当該地区の課題解決に向けた基本方針を基に、集積する行政・文化施設等及び周辺における魅力づくりの一環としての広場整備事業等、社会実験実施による検証を行い、事業の具体化に取り組んでまいります。

「近鉄大和高田駅・JR高田駅周辺地区」につきましては、冒頭でも触れましたように、懸案事項であります市立病院の建て替えについて、当該地区内の奈良県産業会館を含めた地域を、建て替えに係る現状での最有力候補地として、本年1月に「大和高田市立病院の近鉄大和高田駅・JR高田駅周辺地区への移転整備における県有財産の活用に関する協定」を奈良県と締結いたしました。令和4年度より、当該地区の特性を活かした県中西部地域の拠点にふさわしい都市空間の再構築を図り、利便性の向上と活性化につなげるためのまちづくり基本構想の策定に取り組んでいるところでもあり、本市の将来を見据えながら慎重かつ丁寧に議論を進めてまいりたいと考えます。

次に公共施設の再編・整備についてであります。市民スポーツの拠点として幅広く利用されている「総合体育館」につきましては、その整備に向け、社会情勢を見据えながら、さらに精緻な検討を進めてまいります。また、他の公共施設につきましても、全体の約60パーセント以上が建設後30年以上を経過しており、その老朽化への対応が課題となっております。少子高齢化の進行や将来見込まれる各施設の修繕、更新費用等を踏まえ、今後のあり方について検討を進めてまいります。

これらの取組と並行して、人口構造転換期における地域づくり施策の一環として、人と人のつながりを促進し、これを生かしたまちづくりが進められるよう市民協働活動の育成支援等にも努めてまいります。

(2) チャレンジ大和高田事業の継続について

2点目は、「チャレンジ大和高田事業の継続」についてであります。

市民の皆様の健康づくりや地域産業の振興、まちのにぎわい創出につなげる事業として、「チャレンジ健康」「チャレンジ商業」「チャレンジ賑わい」「チャレンジ農業」の4事業からなる「チャレンジ大和高田事業」を、引き続き今期も進めてまいります。

まず、「チャレンジ健康」につきましては、加速する少子高齢化への対応策として、市民の皆様の健康づくりを推進していくものでございます。近年、コロナ禍の影響もあり、人とのかかわりが減少したことによるフレイル等の課題も生じてきております。保健分野、高齢者福祉分野、医療分野等の関連事業を包括的に展開しながら、健康寿命の延伸を目指してまいりたいと考えます。

次に、「チャレンジ商業」につきましては、これからの人口減少時代に対応し、持続可能な地域社会の創出に向けて、産業分野からアプローチする取組であります。既に本年度より、片塩商店街内において、創業者の育成と商店街の活性化を目的に、市内で創業を目指す方に対して一定期間事業を営むための店舗を安く提供する「大和高田市チャレンジショップ事業」に取り組んでおり、地域産業の振興に向けた取組を今後も継続して推し進めてまいりたいと考えます。

次に、「チャレンジ賑わい」につきましては、文字通り、まちに賑わいを創出することを目的として推進する取組であります。市内で行う効果的な活性化事業の立案を、事業者等に広く求め、実施することにより、まちの賑わい創出に取り組んでまいります。なお、今期は、これに併せて、本市が関わるイベント事業が一層効果的なものとなるよう市全体のイベント構成の見直しを進め、その再構築に取り組みたいと考えます。

最後に、「チャレンジ農業」につきましては、「きくな」「こまつな」「しろな」「ほうれんそう」「ねぎ」の本市特産野菜5品目に続く新たな農作物の産地形成を通して、収益性の高い農業の実現、ひいては、まちのPRにつなげることを目指す取組であります。本事業については、既に令和4年度より大和高田市地域農業再生協議会での議論等を通して、6品目の候補にトウモロコシを掲げ、関連団体を中心に栽培技術の研究等に取り組んでいるところであります。今期は、販路開拓に向けた取組を積極的に後押ししていくことで、作付面積の拡大等、当該事業の更なる発展につなげてまいりたいと考えております。

(3) デジタル・トランスフォーメーションの推進について

3点目は、「デジタル・トランスフォーメーションの推進」についてであります。

近年、社会全体のデジタル化が目覚ましいスピードで進展しています。そのような中で、本市といたしましても、デジタル技術を活用した取組の推進に一層注力していく必要があるものと捉えております。

本市のデジタル・トランスフォーメーションの取組につきましては、令和3年度より、総務省発出の「自治体DX推進計画」に基づき、自治体情報システムの標準化、マイナンバーカードの普及促進、行政手続きのオンライン化等の業務に着手してきたところでありますが、今期は、当該計画における重点取組事項の確実な実施はもちろんのこと、市民サービスの向上と職員の業務効率改善の2つの視点から当該取組を積極的に進めてまいりたいと考えます。

(4)教育の充実と子育て支援体制の充実について

4点目は、「教育の充実と子育て支援体制の充実」についてであります。

現在直面する人口減少問題に対処し、今後、本市が安定的に行財政運営を行っていくためには、若い世代の方々に定着していただけるまちとしていかなければならないと考えております。そのためには、当該世代の方々が、働きやすく安心して子どもを生み育てられるまち、また、子どもたちが豊かな人間性とたくましい心身を持ち、自らの課題を克服していけるよう地域全体で育むことのできるまちを目指して取り組んでいく必要があります。

そこで、まず本年度より、学校運営や学校の課題に対して保護者や地域住民等の皆様が参画できる仕組みとして、コミュニティ・スクール制度を導入いたします。学校を取り巻く問題の複雑化・困難化に対応するため、地域と学校が連携・協働して学校運営の向上を目指してまいります。

併せて、子どもたちの「確かな学力」を育成するために、新学習指導要領の下、個に応じた学習指導の充実に努めたいと考えております。さらに、「園児及び児童生徒理解のための資質向上研修」を活用し、子どもたちを適切に見立て支援する力の育成や有効な指導法を吟味して授業改善を目指しつつ、家庭とも連携しながら、学習習慣の確立に努めることで子どもたちの学力向上を進めてまいります。

また、特別支援教育として、支援を要する児童生徒の自立や社会参画に向け、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、特に発達障がいや不登校及び引きこもりになった児童生徒に対しては、行政と教育が連携し、一体となった途切れのない支援を行ってまいります。

中学校における学校部活動につきましては、本年度から令和7年度までを改革集中期間とし、地域部活動への移行に取り組んでまいりたいと考えます。

学校施設の適正規模・適正配置につきましては、児童生徒数の減少、施設の老朽化も進む中、将来必要と見込まれる学級数を想定しながら、教育部内において協議を始めております。保護者や地域住民の皆様等、関係者の方々からのご意見もお聴きしながら、教育環境の維持・向上に向け、慎重に検討を進めてまいります。

子育て支援につきましては、本年4月に、社会全体で子どもの成長を後押しすることを目的として、「こども家庭庁」が設置されました。これを受け、秋以降には、国において「こども基本法」に基づく「こども大綱」が制定される予定となっております。

本市といたしましても、妊娠期を含め、全ての子どもたちを切れ目なく支援できるよう、組織内の更なる連携を図りつつ、職員体制の強化と、関係機関との密接な連携が可能となる組織づくりを進めることで、子育て世代が安心して暮らせる支援施策の実現に取り組みます。

(5) 将来を見据えた医療体制の整備について

5点目は、「将来を見据えた医療体制の整備」についてであります。

市立病院の建て替えにつきましては、「市立病院のあり方検討委員会」での検討結果である新築移転を前提とし、市内の公有地を中心に、これまで賜ったご意見等を参考にして、慎重に検証を重ねてまいりました。そして、令和4年12月市議会定例会におきまして、奈良県産業会館を含むJR高田駅東側広場を、建て替えの最有力候補地とする構想案を発表させていただき、何をおいても、市民の安全、生命を最優先にとの思いから、この構想案についてさらに深い議論を進めていくことができるよう、奈良県と「県有財産の活用に関する協定」を締結いたしました。

これを受け、本年5月に、1回目の市民説明会を開催し、これまでの経緯や現在の状況に係るご説明をさせていただいたところであり、引き続き、市民の皆様のご意見を頂戴しながら、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。

市立病院におきましては、建て替えのみならず、これからも地域の安心・安全な医療を提供できるよう、現在、「大和高田市立病院建替え整備基本構想策定委員会」を設置し、検討を進めているところでございます。この基本構想では、「いざという時に頼れる 市民から愛される病院へ」の将来像を目指し、今後の市立病院の方向性や医療体制等について検討し、将来を見据えた医療体制の整備に取り組んでまいります。

具体的には、今後起こりうる南海トラフ巨大地震等に備え、災害拠点病院としての機能にとどまらず、災害医療の面からも強化に取り組んでまいりたいと考えます。

まず、急速に進む少子高齢化に向けた医療体制の構築に向けましては、既に本年4月より、これまで市外の医療機関での対応となっていた心臓カテーテル検査・治療の体制を、当院でも担える体制へと整備させていただいたところでございます。今後は、がん医療につきましても、内科・外科・放射線治療科が更なる連携を図り、建て替えに向けて緩和ケア病棟の新設を検討し、治療体制の強化と医療が地域で完結できる体制の構築にも取り組んでまいります。

次に、子育てに関する領域につきましては、昭和28年10月の開院当初から当院に設置しております小児科・産婦人科を、引き続きこれからも担ってまいりますことで、安心して出産・子育てができるまちづくりにつなげてまいりたいと考えます。

また、令和4年2月に実施いたしました市民アンケート調査の「最も期待する医療サービスは」との問いにおいて、全ての年代から「24時間対応の救急医療」を望む声が多くあったことを踏まえて、現在、救急体制の更なる強化に取り組んでいるところであり、まずは、救急患者の受け入れ件数、年間3,000件を目標としてまいります。

なお、医療体制の整備に向けましては、医師の確保にも取り組む必要があり、今後も、奈良県立医科大学との連携強化に取り組んでまいります。

(6) 災害に強いまちづくりの推進について

6点目は、「災害に強いまちづくりの推進」についてであります。

先ほども触れましたように、現在、我が国におきましては、南海トラフ巨大地震の切迫性が指摘されております。また、大型台風の襲来や局地的豪雨の頻発等、異常な気象現象も多く発生しております。

このような状況の中、本市といたしましても、災害の発生時に迅速な対応を行い、市民の生命・財産を守るため、これまで以上に緊張感をもって備えを行っていかなければなりません。

防災力の更なる強化に向けて、自助・共助・公助がバランスよく機能した仕組みを構築していくため、自主防災組織の設立を促進し、当該組織と連携して地域の防災意識の高揚に取り組んでまいります。

また、火災時に迅速な消火活動を行い、災害の被害を最小限に抑えるため、消火栓の設置等消防水利の充実を図ってまいりますとともに、市職員による住民参加型の実践的な総合防災訓練を実施することにより、防災・減災への取組を推進し、災害に強いまちづくりにつなげてまいりたいと考えております。

内水対策といたしましては、まず、甘田川流域の浸水対策として、奈良県高田土木事務所内での雨水貯留施設の築造を、令和6年度末の完成を目指して進めてまいります。土庫川流域の浸水対策としましては、大和高田市総合公園整備事業の進捗と並行しながら、浸水被害の軽減に取り組んでまいります。

併せて、令和7年度末までに内水ハザードマップを作成することにより、内水による浸水情報と避難等に関する情報を市民の皆様に分かりやすく提供してまいります。

 

以上、2期目の市政を推進していくに当たり、私の考えの一端を申し上げた次第であります。

私は、引き続き今後4年間の市政を託された者として、どのような困難にも立ち向かい、本市の明るい未来の構築に向けて、全力で取り組んでまいる決意でございます。

最後に、市民の皆様、市議会議員の皆様に対しまして、なお一層のご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

大和高田市長 堀内 大造