民法等の一部改正法(父母の離婚後の子の養育に関する見直し)について

更新日:2026年02月09日

法改正の概要

令和6年(2024年)5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部改正法が成立しました。この改正法は、こどもを養育する父母の責務を明確化するとともに、親権(単独親権・共同親権)、養育費、親子交流などに関するルールが見直され、令和8年(2026年)4月1日に施行されます。

親の責務に関するルールの明確化

父母が親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責任を負うことなどが明確化されています。

こどもの人格の尊重
父母はこどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。

こどもの扶養
父母はこどもを養う責務を負います。こどもが親と同程度の水準の生活を維持するものでなければなりません。

父母間の人格尊重・協力義務
父母はこどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。

  • 父母の一方から他方への暴力や相手を怖がらせるような言動や誹謗中傷
  • 別居している親が、同居している親による日常的な監護に、不当に干渉すること
  • 父母の一方が、特段の理由なく、他方の親に無断でこどもを転居させること
  • 裁判所などで決まったこどもと別居親との交流(親子交流)を、特別な理由もなく拒むこと

※DVや虐待から避難するために必要な場合などはこの義務に違反しません。
※違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

こどもの利益のための親権行使
親権はこどもの利益のために行使しなければなりません。

親権に関するルールの見直し

今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めとすることも、単独親権の定めとすることもできるようになりました。

協議離婚の場合
父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合
家庭裁判所が、父母とこどもの関係や父と母の関係などを考慮した上で、こどもの利益を考えて、親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人にするかを定めます。
次のような場合は家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

  • 虐待のおそれがあると認められるとき
  • DVのおそれ、その他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難と認められるとき
  • 共同親権と定めることで、こどもの利益を害すると認められるとき

また、こどもの利益のために必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更(父母の一方から他の一方/一方から双方/双方から一方)をすることができます。

養育費の支払確保に向けた見直し

合意の実効性の向上
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。

法定養育費
今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して一定額の養育費を請求できるようになります。この請求は令和8年4月1日以降に離婚した父母が対象です。
なお、法定養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決めを行うことが重要です。

裁判手続の利便性向上
養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで、財産開示手続、情報提供命令、債権差押命令という一連の手続を申請することができるようになります。

安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

親子交流の試行的実施
家庭裁判所は、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査し、父母との間で様々な調整をします。こどもの心身の状況に照らして相当であるか、親子交流の試行的実施の必要性があるかなどをを考慮して、親子交流の試行的実施を促すか否かを検討します。

離婚中別居の場合の親子交流
今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定めるが、協議が成立しない場合には家庭裁判所の審判等により定める、これに当たっては、こどもの利益を最優先に考慮する、といったルールを明らかにしています。

父母以外の親族とこどもの交流
今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。

関連省庁からの情報

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