施政方針(令和7年度)
施政方針(令和7年3月) 市議会定例会
本日ここに、令和7年度一般会計予算をはじめ関係諸案件を市議会にご提案申し上げ、ご審議いただくに当たりまして、令和7年度の施政の方向と主要施策の概要を申し上げ、議員各位、並びに、市民の皆さま方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
初めに、令和7年度市政運営における基本的な考え方について申し上げます。
本年1月に内閣府が公表した月例経済報告によると、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」とされているところではありますが、混迷を続ける世界情勢等不安定要素も大きく、依然厳しい物価の上昇が続いております。
加えて、歳入面につきましても、現在国において審議中のいわゆる「年収の壁法案」等、今後の税収見通しに大きな影響が予想されるものもあり、市政におきましては、先の12月議会においてお示しさせていただきました財政状況の中で、各分野の動向をしっかりと見極めながら行財政改革に取り組み、計画的に行政運営を進めていかなければなりません。令和7年度当初予算の編成に当たりましても、事業の見直し等の経費の削減に取り組み、今後も継続して取組を進めていく考えであります。
そうした状況にあって、まず、公共施設のマネジメントにつきましては、引き続き令和7年度も統廃合や複合化、長寿命化等により、維持管理コストを削減し、一層の財政負担の軽減を図ってまいります。また、利用者のニーズに合わせた施設整備によるサービスの向上に努め、将来の人口減少や社会情勢の変化に対応できる、柔軟性のある持続可能なまちづくりを目指します。
市民の皆様のご理解とご協力を賜りながら、公共施設等の最適化に取り組んでまいります。
一方で、こうした取組と併せて、将来の本市の発展につながるまちづくり施策を講じていくことも必要となってまいります。
令和7年度は、これまで実施してまいりました「チャレンジ健康」「チャレンジ商業」「チャレンジ賑わい」「チャレンジ農業」のうち、「チャレンジ商業」を除く三つの事業を改め、新たな「チャレンジ大和高田」事業として、商業施設の誘致、大型宿泊施設の誘致、大学の誘致の三つの誘致の可能性を研究してまいりたいと考えております。
商業施設の誘致、大型宿泊施設の誘致については、地域経済の活性化をはじめ、雇用の創出、税収の増加、都市機能やエリア価値の向上等が見込まれ、また、大学の誘致については、地域文化の振興や若者世代を中心とした交流人口の増加による都市の賑わいが大いに期待される等、本市の更なる発展に繋がるものであると考えております。
本市の財政状況等を見極めながら、今後新しい施策への取り組みを示してまいります。
次に、市立病院の建替えについてであります。本事業につきましては、これまで幾多の議論を重ねてきた結果、総事業費や工期、患者さんの使いやすさ、病院職員の働きやすさ等の面から、令和6年9月議会におきまして、改めて1年間のお時間をいただき再度の検証を行った結果として、新築移転が最善であるとの再度判断をし、ご報告させていただきました。
しかしながら移転候補地として挙げさせていただきました奈良県産業会館につきましては、現時点での奈良県の判断として、市議会で予算が可決されるならば売却について検討する用意はあると示されたこと、また本市におきましては、将来の財政見通しとして、物価高騰に加えこれからも人件費の上昇が予想される等、一般会計において今後厳しい状況が見込まれることから、このたび市立病院の新築移転については現状大変困難であると判断いたしました。
しかし、このような状況ではありますが、今後起こりうる南海トラフ巨大地震への対応に備え、患者さんや病院で働く職員の命が最優先であることに変わりはないことから、市立病院の建替えを中断するのではなく、速やかな建替えに向けた検証を進めてまいりたいと考えております。
その一つとして、市立病院事業会計のみで、どこまでの事業費で建替えが可能なのかを検証し、市立病院の耐震化問題を早急に解決するため、これまでの検証結果を活用しながら新たな建替え案をお示ししたいと考えております。
それでは、令和7年度の主な施策について、「大和高田市まちづくりの指針」の六つの基本目標に基づき、順にご説明申し上げます。
一つ目の目標は「認め合い、高め合う人が輝くまちづくり」であります。
まず、人権を尊重する社会の実現及び平和を願う市民意識の醸成についてであります。
人権施策につきましては、あらゆる差別を許さぬ強い姿勢の下、一人ひとりが人権を尊重する意識を持ち、だれもが安全に安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、施策を総合的に推進し、あらゆる機会を捉え市民啓発をいたします。
また、男女共同参画においては、性別や年齢にとらわれることなく一人ひとりの個性や能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現を目指し、あらゆる分野において、全ての人が活躍することができる環境づくりを推進してまいります。
多文化共生につきましては、外国人住民の方々の増加や国籍の多様化等、近年の我が国における外国人を取り巻く状況も様々に変化していることから、関係団体と連携を取りながら多文化共生社会の実現に向けた取組を推進してまいります。
更に、平和を願う市民意識の醸成につきましても、「非核・平和都市宣言」自治体として、今後も変わることなく平和行政の推進に取り組んでまいります。
次に、生涯学習機会の充実・文化活動の推進・スポーツ環境の整備についてであります。
生涯学習につきましては、老朽化している中央公民館の機能を葛城コミュニティセンターや他の施設へスムーズに移行することを目指しつつ、社会教育の根底を成す定期講座や教室等の充実、自主サークル活動の活性化を図り、生涯学習ネットワークの形成と拡充に努め、市民の皆さまに、生きがいと潤いのある人生を過ごしていただけるよう努めてまいります。
図書館におきましては、指定管理者による図書貸出システムの導入により利用者の利便性の向上とコスト削減を目指すとともに電子図書館サービスにおけるコンテンツの更なる充実を図ることで、より多くの方が図書に触れ合う機会を増やしていきたいと考えております。
加えて、様々なジャンルの教室やイベントの開催、小学校や幼稚園、保育所への図書の配本、「図書館を使った調べる学習コンクール」の開催等、子どもの読書活動への支援に努め、「知の拠点」「情報発信拠点」として、魅力ある図書館づくりを進めてまいります。
また、本市に所在する文化資源や歴史文化につきましては、地域共有の財産として、大切に後世へ継承していくとともに、文化財ボランティアガイドと連携を図りながら、文化資源や歴史文化を活用した地域活性化や地域の特性を生かしたまちづくりを目指してまいります。
市民文化の振興といたしましては、引き続き文化活動を通して、生きる喜びや笑顔につながる事業に取り組んでまいります。さざんかホールでは、音楽や演劇等の鑑賞事業、市民自らが芸術活動を実践する機会となる事業、並びに「アウトリーチ事業」等、子どもたちが芸術に触れ合える機会を増やす事業を進めてまいります。
スポーツ振興につきましては、市民が健康でいきいきと暮らせるよう、生涯スポーツの啓発、環境の整備に取り組んでまいります。「総合体育館」の整備につきましては、財政状況や社会情勢等を鑑み、移転新築を凍結とすることとしておりますが、現行の総合体育館は市民スポーツにおける大切な拠点であることを踏まえ、市民サービスとのバランスを考えながら耐震診断の結果をもとに今後の方向性を定めてまいります。
次に、国際交流の推進及び国際化社会への対応についてであります。
昨年は、オーストラリア・リズモー市との姉妹都市締結60周年記念事業を通して、両市の絆をより一層深めることができました。引き続き令和7年度も、お互いの交流を促進し、国際的な理解を深めるための活動を進めてまいります。
また、昨年8月からはJETプログラムを活用した国際交流員を配置いたしております。国際的視野の拡大や異文化理解促進のきっかけとなるよう、当該交流員の活用を図ってまいります。
二つ目の目標は「こどもたちの笑顔あふれるまちづくり」であります。
まず、教育環境の充実についてであります。
学校教育につきましては、未来にはばたく子どもたちが健やかに成長していくことができるよう、引き続き、確かな学力の育成、豊かな人間性の育成、健やかな心身の育成等を目標に、ICTを効果的に活用し、「継続性のある深い学び」につながる「協働的な学び」・「個別最適な学び」の実現を目指すとともに、自他の人権を大切にしようとする意識と行動力を身に付けるための人権教育に取り組みます。
また、情報化社会、グローバル社会に対応できる人材育成を目指したICT教育、外国語教育等、時代に即した教育の推進に努めてまいります。
ICT教育につきましては、令和7年度においてタブレット端末をはじめとするICT機器を更新・整備してまいりますが、より効果的に活用できる学びの環境実現に向け、利便性の向上と働き方改革を後押しできる整備に努めてまいります。
外国語教育につきましては、市立全ての幼稚園・こども園をはじめ、小中学校及び高田商業高等学校に英語を母語とする外国語指導助手を派遣しております。引き続き令和7年度も、生きた外国語に触れる機会の充実を図り、多様な文化への理解を深め、コミュニケーション能力及び語学力の向上を図ってまいります。
市立学校等において、全ての幼児児童生徒が共に学ぶことを追求する「インクルーシブ教育システム」の構築に向けて、通級指導教室の増設をはじめ「多様な学びの場」を充実させていくとともに、教職員の専門性の向上を図ります。
また、支援を要する幼児・児童・生徒の自立と社会参画を目指し、一人ひとりの教育的ニーズにあった指導や支援を切れ目なく提供するための体制づくりを行政と教育が連携し一体となって取り組んでまいります。
令和7年度も、教員業務支援員(スクールサポートスタッフ)や学習指導員を小学校・中学校に配置することといたします。これにより、教員の働き方改革の推進はもとより、児童・生徒一人ひとりに合ったきめ細かな対応が可能となり、子どもたちの「学ぶ力」の育成につながるものと考えております。
中学校における学校部活動につきましては、令和6年度に休日の部活動地域移行に向けた実証事業を二つの種目で実施いたしました。令和7年度には、実証事業の種目を拡充することで新しい部活動のあり方について具体的なイメージを持っていただき、令和8年度からの休日部活動の完全地域移行を目指して取り組んでまいります。
将来の市立幼稚園・小学校及び中学校の規模・配置の適正化につきましては、令和7年度末の基本方針・基本計画の策定に向け、外部委員を含む「教育環境あり方検討委員会」を設置し、将来の児童生徒数、学級数等を視野に入れた検討を進めているところであり、地域の方々と合意形成を図りながら、より良い教育環境のあり方を検討してまいります。
また、今年度、全ての小学校、中学校及び高等学校において、コミュニティ・スクールを導入することができました。学校を取り巻く問題の複雑化・困難化に対応するため、学校運営や学校の課題に対し保護者や地域住民等の皆さまが参画できるこの仕組みを活用し、地域と学校が連携・協働して学校運営の向上を目指してまいります。
幼稚園につきましては、子どもの成長を切れ目なく支える観点から、学びや生活の基盤を作る幼児教育と小学校教育の接続について、校区の教職員が協働して作成した子どもの学びと育ちをつなぐ「架け橋期のカリキュラム」を実施し、幼小の合同研修や接続を意識した教育実践に取り組みます。そのため、幼児教育では、「幼児の主体的な遊びを通した学び」を大切にし、「やってみたい」から始まる学びの芽(知識・技能・思考力等の基礎、学びに向かう力)の育成に取り組みます。そして、「安心と挑戦の循環」の保障を通して、子どものウェルビーイングを高めるため、幼児が地域の一員として、地域の中で成長していくことの重要性について発信し、引き続き、保護者や地域住民の皆さまの参画も得ながら幼児教育の一層の充実を図ってまいります。
また、昨今の物価高騰の影響を踏まえ、地方創生臨時交付金(重点支援地方交付金)を活用し、小学校及び中学校における学校給食用食材への公費負担による支援をいたします。
高田商業高等学校では、生徒の個性を伸ばすとともに、社会に通用する人材の育成や確かな学力の向上を目標とした「ビジネスマナーの習得」「上級資格の取得」「部活動の充実」を基本方針とし、引き続き、これからの時代に対応できる人材育成に取り組んでまいります。
また、生徒に自ら学び、考え、判断して行動できる力を身に付けさせるとともに、ICTを活用した教育を充実させてまいります。同時に、情報処理通信技術について広く学び、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を育成し、グローバル化やICT化が進む社会で求められる人材育成を目指してまいります。
今後におきましても、進学や就職にも対応できる教育カリキュラムの充実に努め、進路選択において良好な成果を上げ、特色ある学校づくりを進めてまいります。
不登校の児童生徒につきましては、引き続き、教育支援ルーム「かたらい教室」での支援を中心に、誰一人取り残されない学びの保障を目指してまいります。併せて、若者の居場所「ヒサかた」では、中学校卒業後の支援を図ってまいります。
いじめ問題につきましては、「大和高田市いじめ防止基本方針」を基に、組織的な対応等を推進し、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるように、「いじめを許さない、見逃さない」学校づくりに努めてまいります。
また、新たに、性的な事案についてアドバイスができる心理相談員を配置し、「生命(いのち)の安全教育」を推進する等して、児童生徒の健全育成に向けた取組を強化してまいります。
次に、子育て支援体制の充実についてであります。
少子高齢化や核家族化の進展により、子育て世帯を取り巻く環境が大きく変化する中、現在の多様化する子育て課題を解決できるよう、妊娠期から子育て期における切れ目のない支援体制の構築や支援サービスの充実に取り組み、こどもを安心して産み育てることができる環境の整備に努めているところであります。
本市の未来を担う全てのこども・若者たちが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができるまちの実現を目指し、本市のこども施策の総合的な推進を目的とした「大和高田市こども計画」を策定してまいります。
令和6年度の「子育て世帯訪問支援事業」の開始に続き、既存の「子育て短期支援事業」の拡充を実施し、乳児院・児童養護施設以外に里親への委託先の追加や児童だけではなく親子利用ができるようサービスの利便性向上を図ってまいります。
保育所・こども園における保育事業につきましては、一時預かり事業、家庭支援推進事業、延長保育事業及び市民交流センターにおける託児事業の実施に努めております。
現在行っております保育所・こども園における保育事業等の継続に加え、令和6年度に引き続き、令和7年度も新たに1施設の小規模保育所を増設し、待機児童対策の推進に努めてまいります。
今後の市立保育施設のあり方につきましては、統廃合も含めた適切な配置について検討するための計画の策定を行ってまいります。
放課後学童児童ホームにつきましては、引き続き子どもたちの放課後の居場所を確保してまいります。また、子どもたちが安心して過ごせる環境づくりに努めてまいります。
こども基本法に基づく「こどもまんなか社会の実現」に向けて、子育て施策の推進に取り組んでまいります。
三つ目の目標は「健康でいきいきと暮らせるまちづくり」であります。
まず、医療体制の整備についてであります。
市立病院は、一昨年に開院70周年を迎えましたが、これまで中和地域の中核病院として地域医療に貢献するための様々な取組を行ってまいりました。
まずは奈良県立医科大学のご支援を受け、特に内科医師の増員をいただくことで、令和5年度からこれまで担えなかった心臓カテーテル検査・治療を開始し、より専門的な治療を行う体制を構築することができ、診療実績も着実に増加して現在では年間100件以上の件数となっております。今年度には、外科及び泌尿器科領域でより専門的ながん治療を目指すため、手術支援ロボットを導入し、昨年7月から既に50件以上の手術実績を積むことができました。
また予防面においては、新型コロナウイルス感染症の影響によりイベント事業が多数中断される中、高齢化を背景として循環器病による患者数の増加が推計され、早期診断及び治療、更に、予防啓発活動が重要であるとの考えから、令和5年度より『やまとたかだハート夏まつり』を開催しておりますが、本事業を通じて多くの市民の皆様に循環器病を知っていただくことができ、特に令和6年度の参加者は500人を超え、令和5年度の実績を大幅に上回りました。令和7年度におきましても更なる事業の充実に取り組んでまいります。
次に、子育てに関する領域につきましては、少子高齢化により年々分娩件数が減少する中、これからも公立病院として、小児医療及び周産期医療に係る役割をしっかりと担ってまいります。その一環として、令和6年7月より、お産への不安を解消するサポートとして、『計画無痛分娩』を開始しました。
また、令和6年度より妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援に向けて、これまで以上に当院と地域との連携強化を図るため、当院の助産師を保健センターに配置しており、引き続き妊娠・出産に対する支援の充実に努めてまいります。
加えて、市民の方々からのニーズが最も高い『救急医療』につきましては、引き続き、将来目標である救急応需件数年間3,000件の達成に向けて取り組んでまいります。
これからも地域の安心・安全の医療に貢献するために、医療体制の整備に向けて、医師の確保に取り組み、奈良県立医科大学との連携強化に取り組んでまいります。
また、休日の医療体制につきましては、引き続き香芝市、葛城市、広陵町の2市1町と連携し、救急・急病に対する診療体制の充実に努め、安心して受診できる環境を整えてまいります。
次に、健康づくり事業の推進についてであります。
まず、予防接種事業につきましては、市民の皆さまが、安全に安心して接種を受けられるよう、医師会及び医療機関と連携・調整を図りながら実施してまいります。特に、令和7年度からは帯状疱疹ワクチンが定期接種となりますので、接種体制の確保に向けて努めてまいります。
次に、母子保健につきましては、不妊治療に係る経済的負担の軽減を図るため、従来の一般不妊治療に加え、生殖補助医療及びこれに併せて行われる先進医療に要する経費についても助成対象とすることで、不妊に悩むご夫婦等の経済的負担を軽減し、若い世代がライフプランとして妊娠・出産を視野に入れ、積極的に治療に取り組めるよう助成制度を拡充いたします。
また、保健師や助産師等が妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援の充実を図ってまいります。
更に、出産後の心身のケアや育児サポート、育児相談等を行うことで、産後の不安を和らげ、赤ちゃんの健やかな成長を支援する産後ケアの拡充を図るとともに、新たに1か月児に対する健康診査の費用を助成いたします。
次に、成人保健につきましては、がんの早期発見・早期治療に向けて、各種がん検診の安全な実施に取り組んでまいります。
また、健康寿命の延伸を目指した健康増進事業につきましては、令和7年度に計画期間が満了する「第2次元気はつらつ大和高田21」の次期計画策定に取り組んでまいります。
更に、歯の健康づくりは心身の健康に不可欠であることから、歯科健診(検診)の受診率向上に向けて、歯科医師会の協力のもと、働き世代や妊婦の方々が市内の歯科医療機関で受診していただけるよう体制整備を行うことで、日常的に歯周病予防に努めるよう促し、市民の皆さまの健康水準の向上につなげてまいります。
国民健康保険事業につきましては、令和6年度から県内統一の保険税率を適用しております。被保険者一人当たりの医療費が増加傾向にある中、令和7年度の保険税率を据え置くことができました。今後も奈良県全体で持続可能な制度運営に努めてまいります。
介護保険事業につきましては、団塊の世代が75歳となる令和7年、本市においても高齢者人口が全体の3分の1を占めることとなります。このような状況の中、高齢者や要介護者を社会全体で支えるという介護保険制度の趣旨を踏まえ、持続可能な制度運営に努めてまいります。
また、「大和高田市第9期介護保険事業計画」に基づき、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる介護環境の整備に取り組んでまいります。
地域支援事業につきましては、高齢者が地域の身近な場所で早期に相談ができるようその拠点を拡充し、相談体制を整備してまいります。
また、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを目指し、認知症ケアパスの作成やオレンジカフェの活用による交流や居場所の提供等、認知症の方やご家族が地域とのつながりを維持しながら、自分らしく生活できるよう取り組んでまいります。
更に、早期からのフレイル予防や効果的な介護予防を推進するため、栄養改善や口腔機能の向上に多職種で連携して取り組み、健康寿命の延伸を目指します。
次に、地域福祉の推進についてであります。
令和7年度は、地域共生社会の実現を目指すべく、令和6年度から準備してまいりました「第2期大和高田市地域福祉計画」を策定いたします。8050問題や引きこもり支援等、分野をまたぐ複合的な福祉課題に対応していくために、庁内の連携体制はもとより、社会福祉協議会や地域の福祉関係団体の皆さまとの協働の強化を進めるため、重層的支援体制整備事業移行準備事業を実施し、より具体的に包括的な支援体制の整備を図ってまいります。
障害福祉につきましては、更なる障害福祉施策推進のために、「大和高田市障害者福祉基本計画」の改訂に向けた準備を進めるとともに、社会福祉協議会の相談窓口を中核においた、基幹相談支援センターの開設に向けて取り組んでまいります。
生活保護制度につきましては、健康で文化的な生活を保障する最終的なセーフティネットであることから、世帯が抱えている個々の課題に向き合い、関係機関と連携を図りながら、経済的自立、日常生活の自立、社会的自立の三つの自立の視点に立ち、自立助長に向けた支援を行うとともに、引き続き適正な生活保護行政に取り組んでまいります。
生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者の自立支援につきましても、世帯の生活状況に応じて、就労支援や家計改善、他施策の活用等、さまざまな相談に応じ、一人ひとりに寄り添った支援に努め、その人らしい生活の実現に向けた支援を行ってまいります。また、制度の狭間にある課題に対しても積極的に支援を行い、切れ目のない連続的な支援に努めてまいります。
物価高騰に伴う低所得世帯支援給付金事業につきましては、住民税非課税世帯に対して、1世帯3万円及び子ども一人につき2万円の加算を支給しており、対象となる方々へ着実に給付金を届けることができるよう引き続き事業を進めてまいります。
四つ目の目標は「活気あふれるにぎわいのまちづくり」であります。
まず、地域産業の振興についてであります。
商工業の振興は本市の重要課題であり、地域経済の活性化に向けて総合的な施策を展開してまいります。地域産業全体の稼ぐ力を高めるため、事業承継支援、雇用促進、経営支援を推進してまいります。同時に、若者の地元定着を促進するべく、地元企業で働く魅力を市内外に広く発信し、地域の将来を担う人材の確保に努めてまいります。
更に、事業の継続・拡大や創業を後押しするため、引き続き融資制度等の金融支援を提供してまいります。
これらの取り組みに加え、市内事業者、商店街、関係機関との緊密な連携のもと、市内産業の振興と商店街の活性化につながるイベントを実施し、地域全体の経済発展を目指してまいります。
「チャレンジ商業」につきましては、現在片塩商店街内に「大和高田市チャレンジショップ」を設置し、市内で創業を目指す方に一定期間事業を営むための店舗として安い賃料で提供しており、昨年11月より第1号店に代わり第2号店が出店されました。今後も、創業者の育成と商店街の活性化を目指し、継続してまいります。
農業につきましては、後継者不足や耕作放棄地の増加等の問題に備えて農業委員会で実施の利用状況調査(農地パトロール)等の取組みと引き続き連携しながら、農地の「貸し手」と「借り手」をつないでいく「農地利用集積の強化」を促進してまいります。
また、令和6年度から地域の農業者の話し合いによる「地域計画」を順次策定しております。地域の農地を次世代に引き継ぎ、地域の農業をどのように維持・発展させていくか等の協議を、地域の皆さまと一体となって取り組んでまいります。
加えて、「きくな」「こまつな」「しろな」「ほうれんそう」「ねぎ」の本市特産野菜5品目の産地を維持しつつ、収益性の高い農作物の作付けを目指す農家の取り組みを後押ししてまいります。
老朽化しつつあるため池・農業用排水路・井堰等につきましては、ストックマネジメントを行い、国や県等の補助金も活用しながら施設の長寿命化を図っていくことで、今後も農業が持続可能な産業として発展していけるよう支援してまいります。
次に魅力発信の強化についてでありますが、本市では、本年2月にイオンモール橿原と地域振興に関する連携協定を締結いたしました。
これにより、当該施設内に設置されたデジタルサイネージ等の設備を活用させていただくことができるようになります。より多くの方々に本市の魅力を効果的にお届けできるよう情報発信の強化に取り組んでまいります。
五つ目の目標は「安心して暮らせる快適のまちづくり」であります。
まず、持続可能なまちづくりの推進についてであります。
コミュニティバス「きぼう号」につきましては、年々増加している運行経費の抑制を図るため、特に利用率が低い便を中心に運行内容の見直しも検討しながら、利用者のニーズに合った移動手段の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、都市基盤の整備についてであります。
市内の道路ネットワーク形成に必要な都市計画道路の整備といたしまして、「大和高田当麻線」の事業を推進し、交通の利便性及び安全性の向上を図ってまいります。
道路インフラの維持につきましては、道路及び橋りょうの修繕計画に基づき、順次補修工事を進めてまいります。
上水道事業につきましては、水需要の減少に伴う給水収益の減少、水道施設の老朽化による更新需要の増加、職員の減少による技術力の低下等水道事業が直面する課題に対応し、連携して広域で水道の老朽化対策等を通じた基礎強化を図ることにより、市民に対し安全で安心な水道水を将来にわたって持続的に供給することを使命として、令和7年4月より、奈良県広域水道企業団へ事業統合いたします。
下水道事業につきましては、その整備の推進重点計画に基づき、事業認可区域内の未だに普及していない区域の早期解消を目指し、事業の推進を図ってまいります。令和6年度末見込みで66.4%である整備率を、令和7年度は67.3%に引き上げることを目標に、快適な生活環境づくりの充実に取り組んでまいります。
次に、生活環境の整備と充実についてであります。
ごみ処理対策事業としましては、適正な廃棄物の収集・処理はもちろんのこと、更なるごみの減量や先を見据えた循環型社会の構築に取り組んでまいります。
ごみ処理広域化事業におきましては、本市クリーンセンターのごみ中継施設の建設工事が令和6年11月に、山辺・県北西部広域環境衛生組合(やまとecoクリーンセンター)の建設工事が本年1月にそれぞれ完成し、試運転期間ではありますが、燃えるごみの運搬を行っております。リサイクル施設の整備につきましては、引き続き最適な事業手法の検討を行い、施設の整備を進めてまいります。
空き家対策事業につきましては、空き家等の発生予防に向け、所有者等に対する啓発や適正管理を促進するとともに、相談体制の整備を行い、空き家等の改善に取り組んでまいります。
公営住宅につきましては、滞納の減少に向け、督促や催告を適正に行い、家賃徴収に努めるとともに、弁護士事務所と連携し、債権の回収率の向上に努めてまいります。また、公営住宅の維持管理を図るため、令和6年度に見直した「公営住宅等長寿命化計画」に基づき、計画的に改修等を行ってまいります。
住宅新築資金等貸付事業につきましては、令和7年2月1日の債権移管及び令和7年3月31日の奈良県住宅新築資金等貸付金回収管理組合の解散に伴い、令和7年度からは本市において債権回収管理業務を行ってまいります。
生活環境の整備と地球温暖化対策につきましては、地域住民の生活環境悪化等を減少させるべく、地域猫活動の一助として、野良猫避妊・去勢手術を獣医師に委託する業務を令和7年度も継続して実施し、安心して暮らせる環境づくりに努めてまいります。
また、「大和高田市地球温暖化対策実行計画」で策定した排出量抑制対策を基に、国の目標である「2050年までに、二酸化炭素排出量実質ゼロ」の実現に向けて省エネルギー・省資源、廃棄物の減量化等の取組を推進し、温室効果ガスの排出量を削減するようにして、地球温暖化対策の推進に努めてまいります。
大和高田市総合公園につきましては、未整備区域の整備を行うに当たり、用地取得等を進めてまいります。
また、他の都市公園施設につきましても、適切な維持管理及び更新業務に努めてまいります。
次に、安全で災害に強いまちづくりの推進についてであります。
近年、高齢者の自動車運転中の交通事故が多発していることから、運転免許証を自主的に返納された65歳以上の高齢者の方々に「ICOCAカード」を配布する事業を継続いたします。
公共交通機関の利用を促進することにより、事故発生件数を抑制し、より安心で安全な社会の確立を目指して検討を続けてまいります。
また、高齢者を狙った特殊詐欺が大きな社会問題となっていることから、同じく令和4年度より開始している、防犯機能を備えた電話機器の購入について、65歳以上の高齢者を含む世帯に対して、費用の一部を補助する事業につきましても継続いたします。
更に、市内における刑法犯の認知件数が増加しており、安心と安全のまちづくりを実現するためにも、自治会等による防犯カメラの設置費用の一部を補助する事業を実施し、犯罪の防止に配慮した環境の整備に努めてまいります。
このほか、子どもや高齢者に対する各種安全教育活動や、公共の場所における放置自転車対策を継続して実施するとともに、防犯灯のLED化事業につきましても、引き続き一定の補助金を交付してまいります。
本年1月に南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率が「70~80%」から「80%程度」に引き上げられました。また、大型台風の襲来や局地的豪雨の頻発等、異常な気象現象も多く発生しております。このような状況の中、防災資機材や携帯トイレの備蓄等避難所の生活環境改善に取り組んでまいります。
防災力の更なる強化に向けては、奈良県防災行政通信ネットワーク衛星回線等の再整備をはじめ、自主防災組織への助成制度を進めてまいります。
また、住民参加型の実践的な防災訓練を実施することにより、防災・減災への取組を推進し、災害に強いまちづくりにつなげてまいりたいと考えております。
内水対策事業につきましては、現在、奈良県と連携して、奈良県高田土木事務所敷地内において雨水貯留施設の整備を進めているところでございます。
六つ目の目標は「自立と協働のまちづくり」であります。
まず、財政基盤の確立及び効率的な行政運営の推進についてであります。
今後の本市の財政見通しは、増加を続ける社会保障費、賃金上昇による人件費の増、既存公共施設の維持・改修・更新に係る経費等により、これまで以上に厳しい状況になることが予想されます。
こうした状況を克服していくためには、既存事業の見直しに加え、効率的・効果的な組織体制を構築していく取組が必要です。
そこで令和7年度は、現在実施中の全庁業務量調査を参考に、行政組織の見直しに着手したいと考えております。今後の行政需要や動向を見極め、効率的で効果的な組織体制の検討を進めてまいります。
歳入確保の取組といたしましては、まず市税等の納付について、従前より、固定資産税をはじめ4税目でスマホ決済を導入し、キャッシュレス決済に対応しており、令和5年度からは国が義務化した固定資産税、軽自動車税(種別割)に加えて市県民税(普通徴収)及び国民健康保険税(普通徴収)について、地方税ポータルシステムを利用したクレジットカード、インターネットバンキング等への対応及び納付書裏面記載の金融機関のほか、全国の地方税統一QRコード対応金融機関での納付が可能となるよう拡大する等、納税者の皆さまの利便性と収納率の向上につなげてまいりました。
令和7年度においては、4月1日以後に発付する督促状に係る督促手数料を廃止し、徴収に係る事務の効率性及び徴収率の向上を目指します。また、初期滞納の徹底した抑制と長期・高額滞納の整理促進を図るため、SMS送信サービスを導入して現年課税分の徴収の強化を行うことにより次年度への滞納繰越を防止するとともに、多様化する市民ニーズや新しい生活様式に合った納税環境の整備を実施し、納期内納付の促進を図り、最少の経費で最大の効果を上げるため、適正な滞納処分により市税等の収納率向上に努め、歳入の確保に取り組んでまいります。
また、ふるさと大和高田応援寄附金につきましても、引き続き本市の貴重な財源確保手段の一つであると認識しております。全国の皆さまに本市を寄付先として選択していただくことができるよう返礼品の充実と協力事業者の拡大に努めてまいります。
私は、就任当初より、職員に対し、イマジネーション、エビデンス、コンプライアンス、パッション、バランスの五つの事項を大切に仕事に取り組むよう伝えております。こうした基本的な考えの上に、職務遂行や職場環境を高めるための具体の研修を実施していくことで、複雑化する行政ニーズに的確に対応できる職員を育成してまいります。
また、私自身としても、常に、職員が勇気をもって一歩前へと踏み出せるようそのエネルギーの供給源となるべく先頭を進んでまいりたいと考えており、これについては昨年の施政方針においても述べさせていただいたところであります。令和7年度は楽観できるものではなく、さまざまな困難も予想されますが、これらを克服していくべくしっかりと組織を導いてまいりたいと考えます。
マイナンバーカードにつきましては、健康保険証との一体化に加え、本年3月24日から新たに運転免許証としての利用が開始されます。
また、マイナンバーカードにおける氏名の振り仮名等表記の実現を図るため、昨年度から進めております戸籍等関係システムの改修が完了しております。
本年5月26日の改正戸籍法施行に向け、戸籍の氏名に振り仮名を記載する業務の体制を整え、円滑に業務を進めてまいります。
デジタル社会への移行が加速化し、便利で安全なサービスが提供される暮らしを実現するため、更なるマイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。
情報政策の取組といたしましては、令和7年度は、令和5年度からデジタル・トランスフォーメーションの一環として進めております自治体情報システム標準化の最終年度であり、令和8年1月からの確実な稼働に向けて、構築事業者との調整及び関係課間での調整を進めてまいります。併せて、市民サービスの向上と職員の業務効率改善に向けた活用検討を進めてまいります。
最後に、市民参画による協働のまちづくりの推進についてであります。
市民交流センターでは、令和6年度に新たに大和高田市市民活動団体部会を立ち上げ、市民活動団体同士の交流と情報共有を行いながら、コロナ禍で中断していた市民協働推進会議も再開いたしました。このような場を通じて、引き続き今後の市民交流センターのあり方や協働についての議論を深めてまいりたいと考えております。また、本市事業への学生の参加を積極的に呼びかけていくことで、多世代交流と関係人口の拡大に努めてまいります。
消費生活問題につきましては、近年、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、トラブルの内容も多様化・複雑化しています。このような状況に対応するべく、引き続き令和7年度も多様化する相談内容にきめ細かく相談できる体制を整えてまいります。消費者庁や国民生活センターが示す事例を広報誌や市ホームページに掲載する等啓発に努めながら、市民の皆さまの被害を未然に防げるよう取組を続けてまいります。
以上、令和7年度の主な施策の概要について述べさせていただきました。
厳しい状況ではありますが、直面する課題への対応はもちろん、将来の大和高田市を見据えたまちづくりにも取り組みながら「笑顔の花咲くまち」の実現に向け精一杯取り組んでまいる所存であります。
最後に、市民の皆さま、議員各位からも広くご意見・ご提言をいただき、更なるご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。
大和高田市長 堀内 大造
この記事に関するお問い合わせ先
企画政策部 秘書課
大和高田市大字大中98番地4(市役所5階)
電話番号:0745-22-1101
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更新日:2025年03月06日